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2015 年度 実績報告書

「静物」に関する脱領域的研究―ネーデルラント美術を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 25370124
研究機関東北大学

研究代表者

尾崎 彰宏  東北大学, 文学研究科, 教授 (80160844)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードフェティシズム / 静物画 / アールツェン / 中国磁器 / 日本 / ネーデルラント/オランダ / イコノクラスム / 美的感性
研究実績の概要

宗教的な主題が衰退するに伴い、それと反比例する形で単独のジャンルとして独立したという静物画観が一般的に受けいれられているが、わかりやすが、それだけに一面的な真実を表しているに過ぎない。宗教性が美的感性を促し、一件逆説的なようだが、描かれた「静物」がその発展を増幅する働きをもっていた。その事実は、歴史画を頂点とする古典主義的な絵画のヒエラルキーの適応範囲がきわめて限定的であったことを明らかにするものである。つまり、古典主義の美術理論では最下位に置かれた静物画こそが、ネーデルラントでは脱領域的に枢要な役割をはたすことになるのである。そうした歴史的展開に与って力のあった枢要な要因の一つが、地理上の発見であった。多種多様なモノがヨーロッパに流入してきたことが重要なファクターとなったのである。それが原因で大きく揺さぶられたアイデンティティの確立のために、みずからのアイデンティティを探求する熾烈なまでの要求が起こった。そうした潮流から古代の「静物」観の再評価へと目がむけられるようになる。「静物」描写の再評価である。
16 世紀後半、ネーデルラントを席巻したイコノクラスム(偶像破壊運動)により、主教画像の禁止が「静物」を美的だと感じさせる感性をより深化させ、フェティシズムへと向かう心性が醸成された。特にオランダにおいては「静物」が東洋交易との隆盛により促進され、それは「オランダ」の表象として際立ち、スペインなどの旧世界を駆逐する政治的機能を果たすことになったのである。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 図書 (3件)

  • [学会発表] ベラスケスとレンブラント ―粗描きの『絵画論』2016

    • 著者名/発表者名
      尾崎彰宏
    • 学会等名
      早稲田大学美術史学会(主催)、スペイン・ラテンアメリカ美術史研究会(共催)、美術史学会、地中海学会(後援)
    • 発表場所
      早稲田大学 小野記念講堂
    • 年月日
      2016-03-04
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Vermeer's Love Letter and the East2015

    • 著者名/発表者名
      Akihiro Ozaki
    • 学会等名
      Tohoku University and University of Florence( International Symposium, How to Lean)
    • 発表場所
      Palazzo Marucelli-Fenzi, Florence
    • 年月日
      2015-10-29 – 2015-10-30
    • 国際学会
  • [学会発表] A New Vie of Rembrandt's Etching The Shell(B159): Sharing Dreams of Asia as a "Community of the Imagination"2015

    • 著者名/発表者名
      Akihiro Ozaki
    • 学会等名
      Workshop"Disciplines Meeting"
    • 発表場所
      東北大学川内南キャンパス文系総合講義棟第1小講義室
    • 年月日
      2015-06-27
    • 国際学会
  • [学会発表] Rembrandt and Islam: : Sympathies and Transformations2015

    • 著者名/発表者名
      Akihiro Ozaki
    • 学会等名
      The 4th German-Japanese University Presidents' Conference
    • 発表場所
      Tohoku Univ. Centennial Hall
    • 年月日
      2015-04-15
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 視覚のイコノグラフィア2015

    • 著者名/発表者名
      尾崎彰宏(共著)
    • 総ページ数
      326
    • 出版者
      ありな書房
  • [図書] ネーデルラント美術の魅力2015

    • 著者名/発表者名
      尾崎彰宏(共著)
    • 総ページ数
      318
    • 出版者
      ありな書房
  • [図書] フェルメールと「風俗画」の巨匠たち2015

    • 著者名/発表者名
      尾崎彰宏(監修)
    • 総ページ数
      96
    • 出版者
      小学館

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公開日: 2017-01-06  

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