本研究は、美術に投影された「時間」に着目し、それを解析することを目的としている。そのために、(1)福行と継承、(2)往還と参詣、(3)奉納と埋納、(4)記録と展示、の各柱を設けて調査ならびに分析をおこなった。(1)については国外・国内の仏教造像の事例、(2)については、このテーマを描く絵画作例、霊場・名所・巡礼地、(3)については、正倉院宝物、経塚、荘園遺跡、(4)については、松平定信・高橋由一に関わる資料、明治期の視覚メディア、という具体的な事例を調査し、その成果に則して、美術と時間の関わりについてあきらかにした。
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