研究課題/領域番号 |
25370126
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
金子 一夫 茨城大学, 教育学部, 教授 (70114014)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 美術教育史 / 図画教員 / 美術学校 / 近代日本美術史 |
研究概要 |
本研究は3年間で大正・昭和戦前期の全国中等学校図画教員のデータベースと全国中等学校図画教員勤務表を完成し、中等図画教員出身美術学校の割合等といった解明を目指すものである。平成25年度は図画教員データベースの充実と中部・近畿・中国地方の中等学校図画教員の調査を行った。図画教員データベースに関しては、旧帝国美術学校卒業生データを入力することができた。美術学校卒業生データ収集は入手困難な場合があることを考えると大きな成果である。 図画教員関係雑誌、各県学事関係職員録等の古書、特に戦時中の学事関係職員録は入手が困難なため、年度計画にとらわれず発見次第収集した。判明した図画教員名によって図画教員勤務表の改訂、図画教員データベースの更新をした。データベースは、このほかの収集資料及び実地調結果から判明した事項を常時入力して更新し、完成に近づけつつある。 実地調査は、新潟県、富山県、福井県、奈良県、滋賀県の各県立図書館、及び京都府総合資料館を実地に調査した。県立図書館が所蔵している学事関係職員録を調査して当該府県の中等学校図画教員を多く明らかにできた。また、国立公文書館に旧文部省の「学校設置廃止認可申請」文書があり、そこに申請学校の教員一覧表が添付されている場合があることが判明した。そこで国立国会図書館での調査予定を国立公文書館での調査に振り替えて調査をした。現在の後身学校でも所蔵していない文書もあり、新たな判明事項が多く得られた。研究成果の発表は以下の通りである。 1.「近代日本の中等学校図画教育と白牙会会員」茨城県近代美術館『ようこそ白牙会展へ(図録)』(平成25年10月) 6-11頁。 2.「大正・昭和戦前期全国中等学校教員の総覧的研究(4)―茨城県」『茨城大学教育学部紀要(教育科学)』第63号, 平成26年3月。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
図画教員データベース作成は、旧帝国美術学校卒業生データを入力できたため大きく前進した。そして常時、新データを入力して充実させることができた。府県立図書館での調査も進め、不明であった時期の多くの図画教員を特定できた。さらに入手及び調査困難であると予想していた戦時中の各府県学事関係職員録も、少しずつではあるが入手、あるいは調査できている。そのため、全国図画教員勤務表の戦時中の空白部分が埋められつつある。上記の調査結果を踏まえ、常時、図画教員データベースの更新と図画教員勤務表の改訂を行い、完成に近づけた。 茨城県に関する研究成果を二編発表できた。 1.「近代日本の中等学校図画教育と白牙会会員」茨城県近代美術館『ようこそ白牙会展へ(図録)』(平成25年10月) 6-11頁。 2.「大正・昭和戦前期全国中等学校教員の総覧的研究(4)―茨城県」『茨城大学教育学部紀要(教育科学)』第63号, 平成26年3月。
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今後の研究の推進方策 |
研究の基本的推進方策は修正することない。 ただ、入手した資料が予想より多く現地調査前に図画教員の解明が進んだ地域もある。平成26年度は東北・北海道、27年度は四国・九州という現地調査の計画を大きく変更することはないが、遅れている府県を優先して調査することも考える。また、既に記したように国立公文書館の旧文部省「学校設置廃止認可申請」書類に教員一覧が含まれていることが判明した。国立公文書館も新たな調査先に加える。文書量が膨大なので、計画年度内に効果的に進められるように計画をする。 最終年度前半には、分析に耐えられるような図画教員データベースと全国図画教員表にする。
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次年度の研究費の使用計画 |
古書資料が予想以上に発見でき、その分旅費使用を抑制していた。古書資料購入と旅費使用の調整が年度内にできなかったため、残金が生じた。 残金は、今年度の旅費として使用する。
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