本研究では、画家とパトロンの日本趣味に関わる相互の影響関係について、J.McN.ホイッスラーと彼の二人のパトロンを中心として調査を行った。ホイッスラー の初期のパトロンであったW.C.アレクサンダー、そして後期のパトロンであったC.L.フリーアは、ホイッスラーの作品を収集しただけでなく、日本を含む東洋美術の一大コレクションを築いたことで知られている。結果として、アレクサンダーの日本美術のコレクションはホイッスラーの作品制作に影響を与え、一方で、フリーアはホイッスラーのジャポニスム作品から東西の「美の普遍性」という示唆を得て、そのことを体現する美術コレクションを築き上げたことが明らかとなった。
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