本研究は、カトリック改革が西洋美術に及ぼした影響を解明するため、16 世紀後半か17 世紀初頭にいたるイタリアを中心とする教会と美術、政治と美術との関係に注目し、美術理論の醸成と論争に着目しつつ、作品をめぐる権力と受容の問題を通して、カトリック改革が、マニエリスムとバロックとの過渡期であるこの時代の美術にどのように具体的に作用したのかを探り、それが全世界に広がったバロック美術にいかに接続し、発展したのかを探るものである。 今年度は主に日本における南蛮美術について調査した。16 世紀後半に日本にもたらされ、教皇庁や教団の画像をめぐる宣教方針についても、記録・資料と布教用画像との両面から調査した。17世紀以降の国内の南蛮美術の資料を調査し、従来の南蛮研究の成果を咀嚼して図像の分類やその意味内容についても考察を深め、いくばくかの成果を得た。 また、この研究の主要な調査対象であるカラヴァッジョについても、最近の研究成果を咀嚼し、口頭で発表を行った。
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