研究課題/領域番号 |
25370134
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
山本 聡美 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (00366999)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 病草紙 / 九相図 / 粉河寺縁起絵巻 / 正法念処経 |
研究実績の概要 |
1.カラーポジフィルムにて保存されている、寺社縁起・中世仏教説話画に関する画像のデータ化に取り組み、2000枚程度のスキャンが完了した。これによって細部の観察や、図様の比較が容易に行えるようになった。2.ボストン美術館・ハーバード大学美術館にて、寺社縁起・中世仏教説話絵巻に関する調査を実施した。3.前年度までの成果をまとめた、「病草紙」に関する出版が完了した(『病草紙』中央公論美術出版)。同書は、「病草紙」現存二十一場面及び関連作品の高精細画像、関連資料、論考、文献目録、英文梗概を網羅する基礎資料集成として、将来の研究基盤となることを企図して制作されたものである。4.中世仏教説話画に関する作品解説を執筆し、成果普及の一助とした(サントリー美術館『絵巻マニア列伝』展図録)。5.前年度までの研究に基づく講演を、社会人講座や文化施設での公開講座として実施し、成果の普及に努めた。特に、宮崎県延岡市立図書館で実施した公開講座では100名以上の聴衆を集め、寺社縁起・中世仏教説話画に関する関心を広く喚起することができた。6.前年度までの成果に基づき、国際学会やシンポジウムにて報告を行った。特に、AAS(Association for Asian Studies) Annual Conference 2017では、米・仏の研究者、日本国内の若手研究者や大学院生らと協働して、寺社縁起・中世仏教絵画に関するパネルを組織し、高い評価を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
画像データの蓄積が予定通りのペースで進展している。研究期間における最大の目標であった「病草紙」に関する出版が完了し、本研究課題に基づくこれまでの成果を十分に盛り込むことができた。本研究課題成果物の一つである、『九相図をよむ』(KADOKAWA、2015年)が、第14回角川財団学芸賞を受賞し、研究成果の普及面について高い評価を得た。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は本研究課題の最終年度にあたっており、これまでの調査で収集した文献や資料の整理と成果報告に注力する。また、アイルランド・ダブリンにあるチェスタービーティライブラリーでの作品調査を予定しており、将来の研究課題への接続をはかる。
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