本研究課題の最終年度であるため、調査・資料整理(下記1.~3.)に加え、成果の報告と普及(下記4.~7.)に注力した。 1.カラーポジフィルムにて保存されている、寺社縁起・中世仏教説話画に関する画像のデータ化に取り組み、2000枚程度のスキャンが完了した。これによって、細部の観察や、図様の比較が容易に行えるようになった。2.文献資料のPDF化を行い、縁起文や説話に関するテキストデータの集成に取り組んだ。3.フィラデルフィア美術館にて、寺社縁起・中世仏教説話画に関する調査を実施した。4.説話文学会例会平成29年度9月例会「画中詞研究への視座―絵と言葉のナラトロジー」にて画中詞に関するパネル発表をオーガナイズし、美術史学・文学・歴史学を横断したパネリストによる報告を行った。5.国際シンポジウムや研究会に参加し、成果報告するとともに、海外の研究者との意見交換を行った。アルザス・欧州日本学研究所(CEEJA)にて『看聞日記』研究会に参加、ダブリン・チェスタービーティライブラリーにて、シンポジウム「日本の絵ものがたりの世界」報告。6.研究成果に基づく講演を行った。真宗大谷派岡崎教区第九組平成29年度夏期講習会講師、大正大学綜合仏教研究所「特別講座「経説と中世の文学・芸術」」講師、東京文化財研究所オープンレクチャー「かたちからの道、かたちへの道」にて講演など、宗教と現代社会をつなぐ取り組みに積極的に参加した。7.研究成果の一般への普及の一環として、webちくまにて「日本人は闇をどう描いてきたか」を連載(全21回)。同連載を書籍化して、2018年度中に刊行予定。
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