研究課題/領域番号 |
25370136
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
齋藤 龍一 成城大学, 民俗学研究所, 研究員 (70573385)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 道教美術 |
研究実績の概要 |
本研究は、中国で生まれた最大の宗教である「道教」において礼拝対象となる偶像=道教像を対象としている。 道教が国家的庇護をうけた唐時代(618-907)における、道教礼拝像の革新的変容とその展開、特に道教における最高神格の三清、つまり元始天尊、霊宝天尊、道徳天尊の主尊三体一組からなる礼拝像の出現過程の解明を目指しながら、唐時代における道教像の広がりと展開、特にその造像様式にみられる地方性の諸相、これらの諸問題について解き明かす研究である。 今年度も前年度に続き、研究代表者が企画・主担当者として2009年に大阪市立美術館ほか計3会場で開催した展覧会「道教の美術」において作成した道教関連作品データを底本とし、近年中国で刊行・発表が相次ぐ数多くの道教美術に関する図録・報告書及び論文を収集した上で、現存する唐時代道教像のデータベース作成をすすめた。 また国内に所蔵される、唐時代および先行する道教像の調査を実施した。あわせて、中国・社会科学院考古研究所の研究者による助力のもと、河北省、山西省、河南省に分布する関連作品について実地調査を行った。 そのなかで、南北朝時代の造像にはみられない、道教像における立像の出現という問題について検討した。さらに道教思想研究の文脈を離れ、「礼拝像」としての造像的見地において、元始天尊、霊宝天尊、道徳天尊の主尊三体一組からなる礼拝像の出現に際しては、同時期の仏教造像と密接な関連を有していた可能性があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はおおむね順調に進展している。 近年中国で刊行・発表が相次ぐ数多くの道教美術に関する図録・報告書及び論文を収集した上で、現存する唐時代道教像のデータベース作成をすすめることができた。 また国内に所蔵される、唐時代および先行する道教像の調査を実施している。さらに河北省、山西省、河南省の関連作品について現地調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度に引き続き、関連資料の収集とデータベースの拡充および作品調査を行う予定である。海外については、四川省に分布する関連作品について効率的且つ実効性のある調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
中国における現地調査の準備段階で次年度に遅らせるべきとの情報を得たことから、その費用を繰り越した。また中国では関連図書が毎年発行されており、次年度も重要な資料を得られるよう予算執行を調整した。
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次年度使用額の使用計画 |
中国における現地調査および、最新資料の収集にあてる予定である。
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