本研究は、唐時代(618-907)における道教の礼拝対象=道教像について、美術史研究の視点で関連作品の調査と考察を試みたものである。研究の中心としたのは、道教最高神格である三清、つまり元始天尊、霊宝天尊、道徳天尊の主尊像三体一組からなる礼拝像=三清像の出現についての検討である。 三清像の出現時期は唐時代後半を遡ることはなく、地域的には四川において創始された可能性が高いこと、またその造像形式は道教信仰者・教団が独自に生み出したとは考えにくく、同時期の仏教造像から少なからず影響を受け出現したと考えられることを明らかにした。
|