〔研究目的〕西大寺流に関する美術作例の実査を中心にその制作背景を考察し、南都での位置付けを行うことを主目的とする。特に密教事相と宋風はベクトルの異なるものとのイメージがあるが南都では違和感なく融合している。 〔研究実績〕2013年度、2014年度における実査のデータを基として、2015年度には『國華』に宋版関係、『佛教藝術』には宋版及び西大寺流の信空について、『美術フォーラム21』には宋版関係、『美術史研究』には西大寺流関係、『早稲田大学大学院文学研究科紀要』には西大寺本堂の清凉寺式釈迦如来関係と西大寺及び宋版関係の論考を立て続けに発表した。また、西大寺にまつわる南都の祖師画像、図像、そして宋代版画については現在も研究を展開させている。加えて、2014年度にブリティシュ・ミュージアムで調査した赤童子画像については、『御遺告大事』典拠であることを指摘したが、今年度には類似作例の実査を大阪市立美術館・日本山輪王寺で行い、その派生については考察を進展させた。 以上、実査における新知見や確認事項を成果へと結実させている。
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