本研究課題では、綴織当麻曼荼羅を中心に、唐代の仏教文化が仏教政策とどう関係し、また日本にどのように移入したのかという問題を検討した。具体的には、綴織当麻曼荼羅を手がかりに、諸州官寺制と唐代仏教文化の伝播との関係、綴織当麻曼荼羅の九品来迎図の図様、唐代変相図の画面構成にみられる空間認識などの問題について考察した。本研究課題では、関連作例として奈良国立博物館所蔵刺繍釈迦説法図や、敦煌莫高窟壁画、敦煌写本の『宝雨経』についても検討を加え、論文として発表するととともに、最終年度はこれらの研究成果に加えて、綴織当麻曼荼羅の日本伝来にかかわる手続きや経路に関する新稿を書き下ろし、著著として発表した。
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