研究課題/領域番号 |
25370144
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
岡 佳子 大手前大学, 総合文化学部, 教授 (50278769)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 京焼 / 野々村仁清 / 尾形乾山 / 在外京焼 / 大英博物館 英国 / ボストン美術館 米国 / メイドストーン美術館 英国 |
研究概要 |
本研究の目的は、大英博物館・ボストン美術館を中心に、野々村仁清・尾形乾山・古清水などの近世の京焼を調査し、国内の出土京焼・伝世品と比較して京焼窯業の展開過程を明らかにするとともに、収集品から明治の京焼研究の実態を明確にし、調査を通じて所蔵館の学芸員と交流することにある。 研究計画では渡航予定は3度であったが対象館の都合から2度の渡航となった。第1回目は2013年11月に米国西海岸において、ロサンジェルス・カウンティ美術館(11月11・12日)で、古清水・木米など5点、サンフランシスコアジア美術館(13・14 日)で、1960年代にブランデージが収集した乾山・穎川作品など約20点を調査した。 第2回目は2014年2月~3月の英国・仏国・米国東海岸への渡航である。英国では大英博物館(2月17~19日)・メイドストーン美術館(2月20・21日)を調査した。前者は明治期のオーガスタ・フランクスの収集品が中心で、乾山・仁清・道八等を含め、湊焼・吉向焼・淡路焼など関西諸窯の作品80点を調査した。後者は明治期に日本に滞在したマーシャム卿の収集で、50点の調査品の大半は18~19世紀の粟田岩倉山・帯山窯の作品で、日本にには残っていない貴重な作品群である。パリのチェルヌスキ美術館(2月24日)では1871~73年に収集された20点の京焼を調査、東海岸では、ブルックリン美術館(3月3日)で京焼・信楽焼12点、フーリア美術館(3月5日)で仁清・光悦・道八作品の調査を行った。ボストン美術館(2月4日)では、担当学芸員と将来の調査に関する打ち合わせを行った。 本年度は、日本で未紹介の貴重な作品を発見でき、自らの京焼研究が大きく進展した。収集者・収集時期により各コレクションの内容に相違があったため、それらの比較研究も可能となり、その点も意義深い。各館の担当者とも有意義な研究交流を行えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、大英博物館調査は実施できたが、ボストン美術館に関しては実際の調査は実施できなかった。しかし、メイドストーン美術館、チェルヌスキ美術館、サンフランシスコアジア美術館、ロサンジェルスカウンティ美術館、ブルックリン美術館、フーリア美術館等、その他の美術館の調査を実施することができ、多大な成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、大英博物館とボストン美術館の京焼の調査を集中的に行い、終了後に他館所蔵作品の調査を実施する予定であったが、両館の事情により、一時期の長期調査が困難なことが明確になった。そのために、本年度は他館調査を実施したが、英国メイドストーン美術館やパリのチェルヌスキ美術館なども明治期の収集で、ここには多くの貴重な京焼作品が含まれていることも判明した。両館の作品は、本年度で調査を終了することができなかったため、次年度も計画に入れるつもりである。のみならず、多くの情報を集めて、欧米の在外京焼を網羅的に調査し、各コレクション相互の比較研究までを視野に入れることを課題としていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度、3月の在外調査時に現地での研究協力者への謝礼、或いは研究補助者を現地雇用し謝金を支出する予定であったが、実際の調査において、その必要が生じなかったために、次年度に繰り越した。 次年度の調査において、研究協力者への謝礼、或いは研究補助者への謝金などに支出することを計画している。
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