研究課題/領域番号 |
25370144
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
岡 佳子 大手前大学, 総合文化学部, 教授 (50278769)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 京焼 / 野々村仁清 / 尾形乾山 / 大英博物館 英国 / ボストン美術館 米国 / メイドストーン博物館 / 在外京焼 |
研究実績の概要 |
本年度は夏に米国、春に英国の調査を実施する予定であったが、昨年2014年8月に起こった健康上の障害が充分に回復せず、2015年8月にはボストン美術館から調査の許可が下りていたにも関わらず、米国への旅行ができなかった。しかし、2016年2月20日~29日の間英国での調査が可能であった。 今回の英国調査では、大英博物館(2月22日~24日)では作品50点、メイドストーン博物館(2月25・26日)では作品15点、および箱55点の調査を実施した。調査項目は、名称・法量・窯・年代等の基本データであり、作品一点ごとに撮影を実施した。明治初年にオーガスタ・フランクスが収集した大英博物館コレクションと、明治30年代にマーシャム卿が収集したメイドストーン博物館コレクションの時期的な収集の相違が作品から明らかとなった。また後者は在外陶磁器コレクションには、全く認められない箱が付属しており、その箱書を調査することもでき、多くの研究上の成果を得た。英国の博物館スタッフとの間に交流を得ることができた。 また、本年度は4月から月1回の宮永東山窯の調査を行った。宮永窯は明治末から昭和40年代に至るまで続いた京焼の窯場で、ほぼ3000件、20000点の作品調査はほぼ終了したが近代京焼についての多くの知見を得た。これは、在外京焼の調査を補完するものである。 さらに「光悦と朱屋田中勝介と宗因」「光悦の陶芸」(河野元昭編 『光悦―琳派の創始者』)「信楽の茶陶―茶人の眼差しからー」などの京焼を含めた陶磁器関係の論文を執筆して発表し、「琳派と乾山焼」の発表も行った。 本来の研究目的である在外京焼調査は充分に実施できなかったが、それを補完する京焼研究において成果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主たる目的は海外の博物館・美術館所蔵の京焼調査であるが、本年度は健康上の理由から夏に予定していた米国ボストン美術館の調査を実施することができなかった。英国のみしか調査できなかった。 しかし、2016年2月20日~29日の間、英国に滞在し、大英博物館(2月22日~24日)では作品約50点、メイドストーン博物館(2月25・26日)では作品15点、および箱55点の調査を実施することができた。調査は、名称・法量・窯・年代等の基本データ、および作品撮影を実施した。明治初年にオーガスタ・フランクスが収集した大英博物館コレクションと、明治30年代にマーシャム卿が収集したメイドストーン博物館コレクションの時期的な収集過程の相違が明らかとなった。また後者は在外陶磁器コレクションには、全く認められない箱が付属しており、その箱書を調査することから多大な成果があった。今回の調査では、大英博物館・メイドストーン博物館のスタッフ諸氏、チェスター・ビーティ博物館学芸員メアリーレットファーン氏の協力を得たが、彼らとの間で国際交流を得ることができた。 本年度は4月から月1回の宮永東山窯の調査を行った。宮永窯は明治末から昭和40年代に至るまで続いた京焼の窯場で、ほぼ3000件、20000点の作品調査はほぼ終了したが近代京焼についての多くの知見を得るとともに、3代宮永東山氏より多くの聞きとりを行うことができた。これは、在外京焼の調査を補完するものである。 さらに「光悦と朱屋田中勝介と宗因」「光悦の陶芸」(河野元昭編 『光悦―琳派の創始者』)「信楽の茶陶―茶人の眼差しからー」などの京焼を含めた陶磁器関係の論文を執筆して発表し、「琳派と乾山焼」の発表も行った。来の研究目的である在外京焼調査は充分に実施できなかったが、それを補完する京焼研究において成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は最終年度にあたるため、海外京焼調査に重点を置いて研究を行っていきたい。 2016年6月にはセインズベリー研究所主催の国際シンポジウムに参加のため、英国へ渡航するので、その折に、メイドストーン美術館において箱書の調査を実施する。また2016年8月にはボストン美術館において、研究協力者とともに調査を実施する。また2017年2月には英国の大英博物館・メイドストーン博物館、仏国の美術館などの調査を実施する予定である。 さらに、宮永東山窯調査、東京における調査、および京焼関係論文の作成、国際交流など精力的な研究を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は夏に米国、春に英国の調査を実施する予定であったが、昨年2014年8月に健康上の障害が起こったために充分な回復ができず、2015年8月にはボストン美術館から調査の許可が下りていたにも関わらず、米国への旅行はできなかった。そのために、予算を使い切ることができずに、次年度送りとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度は3回の渡航を計画している。2016年6月には英国セインズベリー研究所主催の国際シンポジウムに参加のため、その折に、メイドストーン美術館において箱書の調査を実施する。また2016年8月にはボストン美術館において、研究協力者とともに規模の大きな調査を実施する。また2017年2月には英国の大英博物館・メイドストーン博物館、仏国の美術館などの長期調査を実施する予定である。海外調査のみならず、国内においても前近代の京焼および周辺の陶磁器関係の作品、考古学出土品、作品などの調査を精力的におこなうつもりである。
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