(1) 東京国立博物館、および他機関において模本・原本調査の実施:東山御文庫(御物)の原本調査、九州国立博物館、大阪歴史博物館での調査を実施した。東山御文庫では、勅封御物である書跡(近衛家伝来、さまざまな模本が残されている作品)の原本調査により、模本との関連性を確認できた。九州国立博物館においては模写資料の調査を、大阪歴史博物館では伝藤原行成筆の書跡を調査。藤原行成の筆跡の受容史を検討するために新たな知見を得ることができた。藤原行成の書の受容については、次年度に東京国立博物館の展示にて成果公開を予定している。 (2) 厳島神社との調整:厳島神社には国宝「平家納経」の模本作成に関わる文書類が保管されている。その文書類の調査のための事前調整を厳島神社担当者と行なった。次年度以降に調査の予定である。 (3)模写資料のデジタル撮影と画像公開:東京国立博物館が所蔵する模写資料のデジタル撮影を行ない、画像管理システムに登録、ホームページ上で公開をし始めた。また、大阪歴史博物館の調査においてもデジタル画像での撮影を実施した。 (4)成果の公開:学術雑誌『ビオ・シティ』において、模写資料を中心に研究した書の受容や鑑賞の歴史に関する小論文を発表した。また、藤原行成の筆跡の受容史については、その研究成果を、来年度の東京国立博物館の展示(特集「藤原行成の書 その流行と伝称」28年8月~9月)で広く公開する予定である。
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