テッラ・シギラタは古代ローマ期の最も有名な上質土器であり、大量に生産されローマ帝国全域で流通した。西欧の古代ローマ研究では昔から研究対象であるが、地中海土器学が存在しないわが国における知名度は限りなく低く、研究対象としてまともに扱われることもなかった。 本研究はテッラ・シギラタをわが国の研究者に正しく紹介することを主眼に、西欧での研究状況と日本語用語の整理を行った。 紀元前2世紀から紀元後7世紀に渡って地中海各地で生産されたテッラ・シギラタを体系づけてまとめる作業は、研究の細分化が進んだ西欧では行われておらず、地中海土器に関しては初学者であるわが国の研究者向けにそれが日本語で行われた意義は大きい。
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