研究課題/領域番号 |
25370156
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金 鉉哲 東北大学, 高等教育開発推進センター, 講師 (80361210)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | コンテンツ / 映画 / テレビドラマ / 文化コンテンツ / ニューメディア / エンターテイメント |
研究概要 |
本研究の目的は、日韓のテレビドラマと映画における大衆の欲望の特徴を明らかにすることである。平成25年度には、ドラマ・映画の資料収集と映像コンテンツの概念に関する基礎調査を行った。2001年から2012年まで日本の原作と韓国のリメイク作品の間にはどのような変化があるかについても注目した。日韓で話題になったドラマと映画作品を中心に人気の傾向性についても調べた。特に、この基礎資料調査の過程で日本と韓国ではコンテンツ概念の差が存在することが明らかになった。 韓国の「コンテンツ産業振興法」では、コンテンツは構成要素として資料と情報の意味を持つが、日本の「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律」では、コンテンツは構成要素ではなく完成されたものという位置づけである。その結果、韓国ではニューメディアの保存および流通方式を前提とした「文化コンテンツ」という用語が強調された。コンテンツの価値は文化的な属性によって決定されるという論理である。これに対して日本では、大衆が楽しむ娯楽的な要素であるエンターテイメント属性を強調される特徴があった。 結局、韓国において良いテレビドラマと映画は、時代意識と人間の欲望を理解できるような文化的な要素が必ず入るべきであった。このように日韓の映像コンテンツは、基本的には同じ概念から出発したが、最近はその概念の範囲が少しずつ変化するようになった。こうしたことから実際の作品にどのような差があるのかについて平成26年度には具体的な作品の比較を通して、その特徴を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の目標は、研究対象であるテレビドラマと映画の資料収集とその特徴の分析であった。日本と韓国で話題になったドラマと映画を中心にその人気の傾向性について調べた。特に、客観的な統計調査資料、メディア・専門雑誌・インターネットの反応を総合的に収集し、日韓の人気作品の共通点と相違点を調べた。人気作品はそのほとんどに小説や漫画の原作が存在するため、原作とリメイク作品の間にはどのような変化があるかについても注目した。その代表的な作品として韓国でリメイクに成功したと評されている「火車」を選んで調査を行った。小説の映画化の過程を調べ、人気の理由とその背景にある大衆の欲望についても考察した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に収集した資料とデータを基にし、平成26年度には具体的に作品の解析を行う予定である。最近2000年度から韓国では、日本の原作がリメイクされる傾向が目立っている。特に、映画の業界では日流の風が強く吹いていると言われている。しかし、多数の日本作品がリメイクされているにもかかわらず、興行収入の側面から見ると成功作は殆どないのが不思議な現象である。原作としては高い評価を受けながら、リメイクされると大衆の関心を引き寄せることができなくなるという問題がある。この結果を問題意識として念頭に置いて、日本と韓国の大衆の欲望にはどのような相違点があるのかについて考察する計画である。特に、具体的な作品の対比と比較においては、「世界観」、「葛藤の展開」、「問題状況の解決」などが主要な分析のポイントとなる。
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