本研究の目的は、日韓のテレビドラマと映画における大衆の欲望の特徴を明らかにすることである。平成27年度には、日韓の大衆が持っている欲望と幻想の特徴を調べる研究を実施した。特に、韓国では2010年から日本原作をリメイクする日流ブームの影響が益々強くなっている。このような現状の特徴を分析し、日韓の大衆が何を求めているのかを明らかにした。 韓国においてリメイク作業は、テレビドラマ、映画の両方で一般的な現象として定着しつつある。しかし、作品の中では原作の人気を越えた作品もあり、一方で全く人気がなかった作品もある。このような原因は大衆が好む人物象、ストーリー展開、葛藤と解決構造に「典型的なパターン」が存在するためである。韓国でリメイクされたTVドラマ「JIN-仁-」は最近の日流ブームの特徴をよく示している。基本的には「運命と個人の対決」、「英雄のキャラクター」、「継続的な障害物の登場と克服の過程」という伝統的な人気要因もあるが、現代的な変容によって新しく「苦悩する現代人」、「性格的な脆弱性」、「楽観的な結末」という新しいパターンも作り出した。しかし、リメイク過程で度々発生する問題点として、過剰なモチーフを使用した結果、全体的なストーリー展開の統一性が崩れる傾向もあった。 結局、最近の日流ブームは「ストーリー」と「人物キャラクター」において韓国の大衆が共感しやすい特徴を持っているためである。韓国で人気が高い日本原作は特徴として、運命と対決する個人が登場し、その人物の心理描写が優れた作品が多かった。しかし、韓国スタイルでリメイクする過程で「世界と個人」の対立構造は弱くなり、「関係性を強調する構造」に変化した。結局、大衆が求めている「愛と友情」が中心となる傾向が強かった。韓国の大衆の関心は運命と戦う個人の悲劇ではなく、家族・恋人・仲間の関係から発生する様々な問題と葛藤にあることが明らかになった。
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