研究課題/領域番号 |
25370157
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大原 央聡 筑波大学, 芸術系, 准教授 (80361327)
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研究分担者 |
河西 栄二 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (60302402)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 芸術諸学 / 彫刻 / 木彫 |
研究実績の概要 |
本研究では欧州において、石の文化のなかで育まれた木彫表現について調査・研究を行い、日本の木彫表現との比較を行うため、5年間の研究期間の内、4回の現地調査を予定している。平成27年度においては、その第3回目の現地調査として、6月にアメリカ合衆国での調査を行った。当初、平成27年度はイタリア中部と南部そしてフランス等において欧州の木彫作品について調査を行う予定であったが、調査を予定していた都市であるミラノは国際博覧会などと予定が重なり、非常に混雑が予想されることもあり、平成27年度と平成28年度の予定を入れ替えて調査を行った。なお、予定の入れ替えにより研究の進行に支障をきたすことはない。よって、平成28年度予定していたアメリカ合衆国での調査を前倒しで行うこととした。欧州における木彫について、その欧州の木彫作品であっても重要な作品の一定数がアメリカ合衆国に渡っているため、作品及び作品に関する資料を収集するために、アメリカ合衆国の該当する施設や場所において調査を行った。ニューヨークではクロイスターズ美術館、メトロポリタン美術館、ホイットニー美術館、ニューヨーク近代美術館、フィラデルフィアではフィラデルフィア美術館、バーンズ財団美術館、ワシントンD.C.においてはナショナルギャラリー、ハーシュホーン美術館、スミソニアン・アメリカ美術館、ボルチモアではウオルターズ美術館、ボルチモア美術館において、木彫作品について調査を行った。特にウオルターズ美術館では明治から昭和時代前期の彫刻家である、吉田芳明(1875-1943)の木彫作品が収蔵されており、早くにアメリカへ渡っていた作品であり、保存状態も良く、欧州の木彫と比較する上でも貴重な資料となった。また調査と併行して、研究内容のひとつである木彫に関する造形的試みについて、研究代表者と研究分担者それぞれが実際に木彫制作を通して検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5年間の研究期間の内、第3回目の海外での現地調査を無事終えることができた。平成27年度と平成28年度の現地調査場所の入れ替えをしたが、当初の計画に支障をきたさずに、かつ着実に研究資料を収集することができている。木彫制作を通した検討も進めることができている為、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
欧州における木彫について、作品及び作品に関する資料を収集するために、引き続き海外において調査・資料収集を行う。平成27年度と平成28年度の予定を入れ替えているので、平成28年度はイタリア中部と南部そしてフランス等において欧州の木彫作品について調査を行う予定であったが、イタリアを中心として木彫作品およびそれに関わる事柄について調査を行う。ミラノ、ローマ、フィレンツェ等都市を中心に調査を行う。 研究代表者の大原央聡は主に欧州の木彫表現全般について、さらに表現技法と彫刻素材である樹種とのかかわりについて調査を行う。研究分担者の河西栄二は主に寄木、内刳りの有無などと表現の在り方がどのように影響しているかについて調査を行う。その上で日本の木彫表現との比較を行う予定である。また、調査と併行して、研究内容のひとつである木彫に関する造形的試みについて、研究代表者と研究分担者それぞれが実際に木彫制作を通して検証を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究期間前半に計画していた資料整理、分析などを、ある程度資料が集まった研究期間後半に実施することとしたため、その人件費分等に未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究期間後半での人件費と最終年度に成果の発表のための展覧会経費としても使用を予定している。
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