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2014 年度 実施状況報告書

天然有機赤色顔料の資料集成と体系化-古典に学んだ堅牢な絵具の実現を目指して-

研究課題

研究課題/領域番号 25370161
研究機関東京藝術大学

研究代表者

作間 美智子  東京藝術大学, 大学院研究科, 講師 (80644773)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード天然有機顔料 / 赤色顔料 / コチニール / カーマイン / 天然有機顔料製造 / 絵画技法材料
研究実績の概要

本研究の目的は、①赤色レーキ顔料に関する文献の収集・体系化と、②収集した文献から天然赤色レーキ絵具を再現することである。
前年度は①の文献の収集、外国語文献の訳出に重点を置いた。今年度は前年度に収集、訳出をした文献の中から、赤色レーキ絵具の再現実験を行うに十分な具体性を持った処方を選び、実験した。文献調査から、具体的な処方を記したものがきわめて少なく、こうした処方が絵具製造業者の間では秘密事項であったことが判明し、その中でも再現可能な処方が得られたことは、現在ごく限られた顔料メーカーでしか作られておらず、その内容も検討できないなか、天然レーキ顔料再現にとって意義があると思われる。
19世紀のフランス文献から5つの処方と、イギリス、ドイツの文献を元に日本で出版された文献から3つの処方の再現実験を行った。分量については、処方と同じ割合で、実験室で行うのに適した分量に置き換えた。
それぞれの実験で採集された顔料は、乾性油、アラビアゴム、卵、膠という絵具の媒材として代表的な4つで絵具を作成した。これをキャンバスに塗布し、塗り見本を作るとともに、別にキャンバスの小片に塗布して、紫外線暴露実験を行った。暴露実験は、24時間、48時間、72時間の3段階で行い、暴露前とそれぞれの段階について分光器による色彩の測定を行った。
今年度の実験の成果については、文化財保存修復学会第37回大会において、『19世紀の文献にもとづくカーマインレーキ顔料再現の試み』というタイトルで発表予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度は文献収集とその訳出に費やされたが、今年度は前年度に得られた処方から実験可能な処方をほぼすべて行うことができ、また、それらの記録、分光分析を行うことができた。これは想像以上に進展したと考える。ただし、文献の体系化に関しては未だ着手できておらず、「おおむね順調に進展している」という評価とした。

今後の研究の推進方策

今年度の実験によって得られた結果を検討し、それぞれの処方による色調の違いなどの原因を考察する。また、紫外線暴露実験による耐久性の検討をし、より堅牢で美しい天然レーキ顔料の作成をめざす。
前年度からの文献収集を継続し、その体系化をめざす。

次年度使用額が生じた理由

海外の図書館への調査をするための予算を取っていたところ、実験に集中したため、その予算が消化されなかった。

次年度使用額の使用計画

実験のための材料費、人件費など。収集した文献のデータベース化のための費用など。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 19世紀の文献にもとづくカーマインレーキ顔料再現の試み2015

    • 著者名/発表者名
      作間美智子、西川竜司、佐藤央育
    • 学会等名
      文化財保存修復学会
    • 発表場所
      京都工芸繊維大学
    • 年月日
      2015-06-28
  • [学会発表] 大阪府個人造「聖母子像」の技法に対する再考察ー西洋絵画技法史との対照によるー2014

    • 著者名/発表者名
      作間美智子、武田恵理、沓名貴彦
    • 学会等名
      文化財保存修復学会
    • 発表場所
      明治大学アカデミーコモン
    • 年月日
      2014-06-08
  • [学会発表] 桑山玉洲使用画材道具類の科学調査(1)2014

    • 著者名/発表者名
      沓名貴彦、武田恵理、作間美智子
    • 学会等名
      文化財保存修復学会
    • 発表場所
      明治大学アカデミーコモン
    • 年月日
      2014-06-08

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公開日: 2016-05-27  

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