研究課題/領域番号 |
25370163
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
柳島 克己 東京藝術大学, その他の研究科, 教授 (70621788)
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研究分担者 |
磯見 俊裕 東京藝術大学, その他の研究科, 教授 (50420295)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 映画 / デジタルシネマ / 映画撮影 / 映画美術 / 映画照明 |
研究実績の概要 |
25年度に撮影された同じ演出、照明、アングルで撮影された4Kと35mmの撮影素材の比較検討を現役の映画制作のプロフェッショナルだけでなく、学生らとともに、ポストプロダクション会社の協力のもと4Kスクリーンを用いて複数回おこない、デジタル撮影に最適な照明方法を再度検討し、未加工画質での画像違いや現在のポストプロダクション技術でどのように操作ができるかなど照明設計についての意見交換を行った。撮影照明の専門的知識を持ち合わせない学生らとは、4Kと35mm映像をみせどの程度の画質の違い理解できるか、画質の印象がどのように異なるかなどの意見を求め、デジタル撮影とフィルム撮影の違いについて考察を行った。デジタル撮影に最適な照明方法の研究のさらなる分析を行った。 デジタル撮影下での美術検証として、1DKの美術セットをたて4K画質での撮影を行った。デジタル撮影に準じた照明の組み、Digital Imaging Technician(DIT)をスタッフとして招き、デジタル撮影現場での照明効果とオンセットグレーディングの関係について調査を行った。その後、撮影素材をポストプロダクションでカラーグレーディングを行い、美術セットの質感、衣装、小道具がグレーディングによってどのような影響を受けるかを学生たちと、グレーダー、他の映像プロフェッショナルと意見交換をおこない、同一の美術セットを使用して、映画制作を複数回行い各作品での照明セッティングと美術セットの質感の影響を調査し、「映画照明技術の変化とそれに付帯した映画美術の藝術表現にどのような変化を与えるか」の検証を進めた。デジタルカメラ高感度が、照明と美術セットに影響を与える事が確認できた事から、新世代のRGBカラーフィルターを搭載した高感度カメラを用いて撮影を行いその影響を具体的に検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の計画目標は、屋内セットでのフィルムとデジタルでの照明の違いの影響の検証であるが、これまでの研究調査から、デジタルカメラが高感度化の影響と、ポストプロダクションでのグレーディングが照明表現に与える影響が大きい事が明らかになっている。デジタルとフィルムでは照明設計のアプローチ方法が異なるため、そのまま26年度は当初の計画であったフィルムとデジタルの照明設計の違いを考慮した美術技術の検証の前に、新しい課題として現状のデジタル技術と照明技術を考慮した美術の見え方の可能性についての検証を重点的に行った。 計画はおおむね順調に進展しているが、フィルムとデジタル撮影の照明技術を考慮した美術技術については今後行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度には、フィルムとデジタル照明の違いと美術の影響について検証をおこなう。 これまでの検証から、デジタル撮影に特化した照明と美術表現について考察し、当初の計画通り、脚本、演出、編集、整音が同一で撮影媒体(35mmと4K)だけが異なる短編映画を作成する。 「デジタルシネマにおける新しい照明、美術のあり方」をテーマとしたシンポジウムを開きその報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度に、35mm撮影による照明と美術比較を行わなかったため、35mmのプリント代が次年度に繰り越されている。最終年度にフィルムとデジタル照明技術と美術技術の比較検討をおこなう。 デジタル撮影に特化した照明、美術技術を開発し、それ以外は同一の(脚本、演出、編集、整音)短編作品をフィルムとデジタルで作成する。「デジタルシネマにおける新しい照明、美術のあり方」をテーマにシンポジウムを開催。研究成果を映画作品として公開するだけでなく、報告書を作成し社会へ広く還元する。
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次年度使用額の使用計画 |
フィルムとデジタル照明技術比較検討費(美術セット費、小道具費、衣装費)、短編製作費、シンポジウム開催費用、報告書制作費
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