研究課題/領域番号 |
25370166
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
飯岡 詩朗 信州大学, 人文学部, 准教授 (90345728)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ハリウッド映画 / テレビ / シットコム / ファミリー・ドラマ / メロドラマ / ジェンダー |
研究概要 |
本年度は、Margaret Herrick Library (北米カリフォルニア州)において、1950年代の主に家庭を舞台とするハリウッド映画(ファミリー・ドラマ)に関して、映画製作倫理規定管理局に関わる文書や映画会社の内部文書などの一次資料の調査を行った。とりわけ、男女の結婚・離婚・不倫といった題材の取り上げられ方と、そうした題材を取り上げられた作品の結末をめぐっての映画製作倫理規定管理局と映画会社との倫理規定をめぐる交渉過程、公開後の評価を辿ることで、一般社会の倫理観の変化や映画観客のニーズの変化、あたらしい大衆メディアであるテレビの登場に、映画産業がどのように適応しようとしたかの分析・考察をおこなった。 また、上述の一次資料の調査の対象となった作品を含むメロドラマ、ファミリー・ドラマを中心に1950年代のハリウッド映画と、同時代のアメリカの家庭を舞台とするシットコム(シチュエーション・コメディ)の収集・整理を行うとともに、物語構造の分析、映像テクストの分析を行い、両者の共通点、相違点、関係性について考察を行った。 以上の考察を通して、1時間半から2時間の上映時間内に結末を迎えなければならない映画と、毎週30分弱の放送を繰り返し結末を先延ばし続けるテレビとの、メディアとしての特性の違いについてより詳細な分析の重要性が明らかになった。また、そうした異なる物語構造と関連づけながら1950年代アメリカの映画・テレビにおける「男らしさ」の変容を分析する必要があることが明らかになった。 本年度の成果は平成26年度に口頭および論文で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外での一次資料調査については、研究代表者の渡航可能時期と資料の閲覧可能時期が合致しない研究機関があったため、本年度中には予定通りには行うことができなかった。また、国内での資料調査(とりわけ雑誌記事)についても研究代表者の訪問可能時期と訪問先の開館時期に合致しなかったため予定通りには行うことができなかった。大きくは以上の2点により、現在までの達成度は、予定よりもやや遅れている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度に実施することがかなわなかった海外での一次資料調査、海外・国内での雑誌記事の調査を進めるとともに、本年度の研究をとおして新たに生まれた課題を探求するためさらなる一次資料の調査を行うとともに、映画・テレビ作品のテクスト分析を行う。また、より広い見地から1950年代アメリカの映画・テレビにおける「男らしさ」の変容を考察するため、原作小説や同時代のさまざま言説についても調査・分析をすすめていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定した通りには海外および国内での調査が行えず、また、それに伴う資料の整理等にかかわるアルバイトの利用も行うことが出来なかったため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額については、本年度行うことのできなかった海外および国内での調査を平成26年度中に行うとともに(旅費)、資料の整理等にかかわるアルバイトの使用を計画している(人件費・謝金)。 平成26年度の経費については、当初の計画通りの雑誌等を含む二次資料に関して海外および国内の調査(旅費)、本年度の研究を通して明らかになった課題に関するものも含め、文献および映像資料の調査・収集・整理(物品費・人件費・謝金・その他)、本年度の成果の学会等で発表(旅費)での使用を計画している。
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