本年度は、南カリフォルニア大学 Doheny Library(北米カリフォルニア州)および、Margaret Herrick Library(同前)において、一次資料の調査を行うとともに、これまでの成果の一部を、口頭・論文発表した。 南カリフォルニア大学 Doheny Library においては、1950年代の Fritz Lang 監督作品および Douglas Sirk 監督作品にかかわる一次文書の調査をおこなった。これにより、これまでの調査では不十分であった、製作・宣伝のプロセスを跡付けることが可能となるとともに、映画製作会社、プロデューサー、監督等の役割分担を正確につかむことが可能となった。 Margaret Herrick Library においては、1950年代の Vincente Minnelli 監督作品や Billy Wilder 監督作品、Daniel Mann 監督作品にかかわる一次文書(とくに脚本の草稿やストーリーボード)の調査をおこなった。これにより、原作小説/戯曲・脚本・映画間のアダプテーションにおける異同を製作段階を追いながら明らかにすることが可能となった。 以上の海外での調査の成果については、平成28年度以降に論文等により発表予定であり、また、本研究を引き継ぐ平成28~30年度の新たな科学研究費の研究課題へも反映させていく予定である。 研究成果の発表としては、1950年代当時に国民的な人気を誇ったテレビのシチュエーション・コメディ番組が映画化に際してどのように変容したのかを、「男らしさ」の表象とともにメディアの特性に着目して分析する口頭発表を学会で行うとともに、その口頭発表を土台とする論文を発表した。
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