本研究は、第二次世界大戦後から1950 年代の映画とテレビにおいて「男らしさ」の表象がどのように変容したのかを、とくに「家庭的」な男性像に着目し、同時代の多様なテクストの横断的な分析を通して、具体的に明らかにすることを目的とした。1950年代アメリカにおいては、映画・テレビの垣根を越え、戦前・戦中までの「男らしさ」の喪失を受けとめる新たな/別の「男らしさ」を描くようになったが、ほぼ同時期に、映画は1940年代までに確立された表現スタイルを多かれ少なかれ廃棄し、多くの場合、テレビの人気に対抗する/順ずる新たな/別の表現スタイルを模索するようにもなった。
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