研究課題/領域番号 |
25370167
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
平芳 裕子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (50362752)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ファッション / 表象 / アメリカ / 服飾 / ファッション雑誌 |
研究概要 |
本研究は、アメリカのファッションがメディアの言説と表象を通じて、いかに「アメリカン・ファッション」として成立させられたのか、その歴史的過程を明らかにすることを目的としている。研究期間の一年目にあたる本年度は、19世紀後半から20世紀初頭においてパリのオートクチュールがいかにアメリカに受容されたのかを明らかにするために、次の三つの調査を行った。すなわち(1)雑誌記事のデータベース調査、(2)文献資料調査、(3)服飾資料の実見調査である。 具体的には、(1)データベース調査においては"American Periodicals Online”収録のファッション雑誌、特に"Harper's Bazaar"を主たる対象として、19世紀後半から20世紀初頭のファッション関連記事の調査と収集を行った。また(2)文献資料調査においては、同時代のアメリカ・ファッション史に関する二次資料の精査、20世紀初頭の学術雑誌のオンライン資料調査等を行った。そして(3)服飾資料の実見調査に関しては、京都服飾文化研究財団、ファッション工科大学附属美術館、バード大学院附属美術館等において、19世紀末から20世紀初頭のアメリカの服飾資料、衣服製造器具、写真資料の実見調査を行った。 以上の三つの調査から得られた研究情報の整理を行い、19世紀後半から20世紀初頭にかけてアメリカのファッション雑誌に掲載されたパリの流行情報の傾向と、同時代のアメリカン・ファッションへの影響ならびにその特質について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の主軸を成す調査の一つに、雑誌資料のデータベース調査が挙げられる。対象資料は"American Periodicals Online”に収録されたファッション雑誌"Harper's Bazaar”であるが、1867年創刊当初と比べて1900年前後の時代に雑誌ページ数が約5倍となる。そのため当初想定していた以上に、通覧の作業と資料の収集に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、アメリカン・ファッション成立の歴史的過程を、主として雑誌資料を通じて明らかにするものとして当初は計画されていた。しかし本年度の調査を通じて、ファッション雑誌だけではなく、博物館や美術館、博覧会などのメディアがアメリカ独自のファッション産業の育成に多大な影響を与えていることが判明した。そこで今後は雑誌記事のデータベース調査よりもむしろ、他のメディアに関する現地調査を重点的に行うことが望ましい。
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次年度の研究費の使用計画 |
文献資料(洋書)の納品が遅れたため。 発注済の文献資料(洋書)代金とする。
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