研究課題/領域番号 |
25370174
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
小山田 徹 京都市立芸術大学, 美術学部, 教授 (20580856)
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研究分担者 |
松井 紫朗 京都市立芸術大学, 美術学部, 教授 (60275188)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 共有空間 / 対話/ダイアローグ / コミュニティ再生 / 洞/洞窟絵画 / 中国庭園 / 山水画 / 焚き火 / 茶室 |
研究実績の概要 |
27年度は、前年度までの心と空間の関係性の中で創られてきた歴史的な文化遺産(洞窟空間、洞窟絵画、ロマネスク教会、巨石文化遺構、古代住居遺跡、中国庭園、中国の様々な住居、茶館、山水画、日本の茶道空間、日本の様々な聖域等)のリサーチワークによる知見を基に、実践的な開かれた場の創造を試み、さらなるリサーチを繰り返す年度であった。 実践的な場の試みの一つは、焚き火を核とした共有空間の開発で、weekend cafeというコミュニティカフェの試みであった。小さな焚き火場を7箇所ぐらい用意し、それぞれ10名程の人々が火を囲む。屋台も用意し、様々にドリンクや調理を楽しめるようにした。京都駅の近くの原っぱで、奇跡的に焚き火が許され、2週間に一度、土曜日に昼から夜まで、3ケ月12回開催された。延べで2600名を超えるお客様が来られ、享受の関係のない、自立的な場の運営がなされた。焚き火の持つ吸引力は強力で、子供から老人まで、男女、国籍を問わず、又、経験を問わず、焚き火の前では抑制された自由な行動と楽しみ方が誘発されていた。一つの大きな火ではなく小さな火をたくさんという場の方がより自立した空間になりやすい事が解った。この試みは、焚き火が世界最小で最古、最強のコミュニケーションの場である事を再認識した企画であった。 いま一つの実践的な場の試みは、茶室の制作である。フィールドリサーチに通底する要素の一つの集約空間ともいえる日本の茶室のリサーチをふまえ、表千家の茂庵を本歌取りして京都市立芸術大学の研究室の中に茶室を、本大学の客員教授である永楽善五郎氏をアドバイザーとして制作し茶会の開催も行った。実際に造ってみると、身体と空間の研ぎすまされた関係性の歴史的積み重ねに驚かされ、今後の空間性の捉え方への大きな示唆を得る事となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終的な小冊子の制作が年度内に終わらず、現在編集中である為。
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今後の研究の推進方策 |
今後は今までのフィールドリサーチと実践の試みをまとめた小冊子を作り、さらなる分野との繋がりを求めるツールとして、現在製作中である。又、東日本大震災等の緊急災害時におけるコミュニティの再生にこの研究の適応を実践、検証しており、その経過等も冊子に掲載予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
フィールドリサーチと実践の試みをまとめた小冊子を作る予定だったのだが、代表研究者の2月、3月の大学業務が煩雑で、重要なフィールド調査が出来ず、小冊子の完成が遅れた為。次年度に小冊子の完成を伸ばし印刷する。
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次年度使用額の使用計画 |
今までのリサーチと実践をまとめた小冊子を作り、さらなる分野との繋がりを求めるツールとして、現在製作中である。又、震災等の緊急災害時におけるコミュニティの再生にこの研究の適応を実践、検証しており、その経過等も冊子に掲載予定である。
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