研究課題/領域番号 |
25370179
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 多摩美術大学 |
研究代表者 |
久保田 晃弘 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (70192565)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 超小型衛星 / 芸術衛星 / ソフトウェア・アート / ジェネラティブ・アート / クリエイティブ・コーディング / オープンソース / ARDUINO |
研究概要 |
本研究では、現在芸術衛星INVADER のミッションOBC ボードとして開発中のシステムを、外部のハードウェアと通信しながら、スタンドアローンで動作する、汎用の生成芸術用モジュールとしてパッケージ化し、さまざまな極限環境で自律的に生成芸術を制作できる汎用かつオープンなモジュールの制作を行う。 平成25年度は、本研究のメインテーマである遠隔創造用のミッションOBC「Morikawa」のVer.1.0を開発した。Morikawaを搭載したCubeSat芸術衛星「INVADER」を、H-IIAロケットの相乗り副衛星として、2014年2月28日にJAXA種子島宇宙センターから地球周回軌道に投入した。衛星の軌道投入と初期運用に成功し、Morikawaの軌道上での動作も確認した。Morikawaにあらかじめ搭載していた、ChatbotのElizaやカメラ撮影などの各種ソフトウェアを実行した。Morikawaに接続された音声合成チップおよびデジトーカ(FM音声送信装置)の稼動にも成功し、宇宙からのアルゴリズミック音楽やコード音響詩の送信実験を行った。さらに、Morikawa上のアプリとして実装されていたInvaderVM(仮想機械)も作動し、地上からのバイトコード送信によるリプログラムにも成功した。平行して、ARTSAT2号機の深宇宙彫刻「DESPATCH」の「はやぶさ2」相乗りが決まり、2014年12月にH-IIAロケット相乗りで地球脱出軌道に投入予定である。 現在はINVADERの運用に加えて、DESPATCHの開発にも取り組んでおり、設計制作は順調に進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
芸術衛星INVADERの打ち上げおよび運用の成功のみならず、地球脱出軌道に投入される深宇宙彫刻「DESPACTH」の相乗り採用が決まった。この宇宙機にも「Morikawa」が搭載され、地球脱出~人工惑星軌道でのMorikawaによる生成詩(コードによって生成される宇宙詩)の遠隔創造および作品の送信実験が行えた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に予定していたJAXA大樹航空宇宙実験場から放球予定の大気球相乗り実験は、気球事故のため延期になってしまったが、平成26年5月末に再実験の予定である。 また、打ち上げに成功したINVADERの運用、大気球実験に加えて、新たに打ち上げられることになったDESPATCHの設計開発も平行して進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、深宇宙彫刻「DESPACTH」の相乗り採用が決まり、その制作のための費用として、次年度の予算の内、90万円を前倒し支払い請求を行った。制作費用を安く抑えることができ、また、当初予定していたJAXA大樹航空宇宙実験場での大気球相乗り実験が中止となり、約7万円が未使用額として残った為、次年度に繰り越すこととした。 DESPACTHの採用によってプロジェクト自体が当初の計画以上に発展することとなった。 平成26年度は、昨年度予定していたJAXA大樹航空宇宙実験場(北海道)から放球予定の大気球相乗り実験を5月末に再実験の予定しており、その費用として研究費を使用予定である。 また、打ち上げに成功したINVADERの運用、大気球実験に加えて、新たに打ち上げられることになったDESPATCHの設計開発も平行して進め、INVADER同様、DESPATCHのミッションも成功に導きたい。
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