本研究の目的は、占領期から1950年代に製作された「日米合作映画」の分析を通して、当時の日本とアメリカがいかなる相互関係にあったのか、とりわけアメリカ統治下の沖縄と日系人の問題を視野に入れることによって、アメリカが想定した東アジアにおける前哨基地としての日本の具体像を多面的に究明することである。 【2015年度の成果】 ①ワシントンDCのナショナルアーカイブの調査により、「日米合作映画」のなかの『二世部隊』(1951年)、『戦場よ永遠に』(1960年)は、前者が国防総省と陸軍、後者が米国情報局と海兵隊の関与があった事実を明らかにした。 ②2015年5月31日に、沖縄県宜野座村文化センターで1959年に公開された『戦場よ永遠に』の上映会を名嘉山リサと共同で企画上映した。『琉球新報』『沖縄タイムス』をはじめ、NHKからも取材を受け、来場者は400人を超えた。『戦場よ永遠に』は、1959年に宜野座村周辺でこの作品が撮影され、多くの沖縄県民がエキストラとして参加した作品であり、当時の関係者の証言を上映会後のシンポジウムで引き出すことが出来た。また、関係者二人にインタビューを行い、当時の撮影の状況を具体的にうかがった。 ③2016年3月に映画『サヨナラ』(1957年)で主演を務めた日系人俳優の高美衣子氏に、米国ラスベガスでインタビューを行い、『サヨナラ』撮影時の状況、ハリウッド映画界におけるアジア系俳優の待遇等について詳細をうかがった。
|