脳科学研究という学際的なテーマーで非侵襲的脳画像装置を使用した実験を行った。 研究開始当初、欧米の先行研究を調べたものの、心理系も含めて脳科学における研究論文は存在したが、この研究の参考になると思われるものは希少であった。 それゆえに、いざこの研究を開始するとなった場合にまず必要になるこれらの領域の先行研究の論文を入手することがかなり難しかった。それは非科学的と言われている芸術分野の研究ゆえの宿命であったのかもしれないが、芸術表現との関係で見ていく場合、研究分野において参考になる文献を見つけることが出来なかったこと、また芸術との関係で見た場合、存在してもそれぞれの論文での見解が異なるため、革新を得ることができないままでいた。そのような要因も含め、実験に踏み込めない状態が続いた。 科学的な方法で研究を進める場合、多角的に見ていく必要があり、学際的な研究内容ゆえに実験デザインを組み立てる段階において試行錯誤した。 最終的には本研究を開始する前までさかのぼり、それまでの予備研究も参考にしながら、さまざまな角度から研究デザインを練り直し、芸術表現時の大脳皮質の血中に含まれる酸素化ヘモグロビン濃度(oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン濃度(deoxy-Hb)の濃度変化を分析して脳の賦活が見られるかを計測した。 現在までの研究で得られた有効な分析データをもとに、最終年度として一定の見解を得て、研究結果を海外の学会にて発表した。
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