研究課題/領域番号 |
25370198
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 中国短期大学 |
研究代表者 |
平光 睦子 中国短期大学, その他部局等, 准教授 (70278860)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 工芸 / 京都 / 明治 / 近代化 / 染織 |
研究概要 |
1.平成25年度研究計画、①一次資料の調査、②地図の作成、③地図に書き入れる事項の選定、について各項目の進捗は以下のとおりである。 ①一次資料の調査/計画段階では平成25年度の調査対象であった「行政施策および直接行政に繋がる議論」に関する資料のうち、主に『京都市議会議事録』を調査した。『府庁文書』については未着手、『京都市通達』については予想よりも情報量が少ないことが判明した。「さまざまな立場の人物による意見や議論」に関する資料のうち、『名家訪問録 京都策』をはじめ、『京都美術協会雑誌』、『京都図案』などを調査した。②地図の作成/明治期の京都地図に関する概説書を数冊入手したところ、当時の京都市街地図の実物が入手可能な価格で販売されていることがわかったので、何点かを購入の方向で検討している。具体的な作成作業には未着手。③地図に書き入れる事項の選択/年表形式で書き込む項目を概ね整理した。 2.平成25年度の研究計画にはなかったことで、特記するべきことは以下のとおりである。 ①学会発表の実施/「『京都策』における工芸の近代化 ―染織産業を中心に」という表題で日本フェノロサ学会大会(2013年9月21日 大阪大学中之島センター)において口頭発表を行った。研究課題をより明確にし、今後の研究の方向性を見直すために現段階の研究成果をまとめて発表した。 3.今後の研究の展開について/以下の項目について再検討し方向性を調整する。①対象の範囲について。計画では対象を工芸全般としていたが、当面は染織産業あるいは織物産業に限定する方向ですすめる。②地図作成の手法/研究代表者本人が今年度から京都に在住することとなり本研究における地の利をえた。この条件をより有効にいかした方法を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、明治期京都の工芸の展開を「京都策」という勧業・街づくり策に照らし合わせて、京都の工芸の近代工業化しなかった要因を明らかにすることと、そこから見えてくるであろう工芸的価値観について考察することにある。初年度である平成25年度は、基本的には「京都策」を議論、計画、実施の各プロセスにおいて精査することと、それに関わる出来事の地理的関係性を示すための京都市街地図を作成することを目指した。前者に関しては、一次資料の調査をある程度完了して年表形式で整理した。結果として、京都の工芸産業の近代化が分岐点を迎えた時期やとくに詳しく追求するべき事柄を明らかにすることができた。後者に関しては、具体的にはほとんど進めることができなかった。しかしながら、現時点での成果をもとに今後の研究の方向性を若干軌道修正したことによって、今後の作業の効率化をはかることができた。以上のことから、研究全体としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究を進めるにあたって、重点項目は次の3点とする。①地図の作成 ②地図への書き込み ③論文投稿。①地図の作成/昨年度の作業の遅れをとりもどすべく、早急に準備を整えて作業に着手する。各機関に既存の古地図を撮影またはコピーしてそれを基に地図を作成する予定であったが、明治期の京都市街地図の実物を購入する方向に切り替えて作業の合理化をはかる。購入する地図のコンディションや価格を慎重に見極め、地図作成のための資料として適切なものを入手する。②地図への書き込み/完成した地図から書き込みをはじめる。テストピースを作成して地図の形状や書き込み方法などの妥当性を確認し諸条件を見直した上で、本格的に作業をすすめる。③論文投稿/昨年度の学会発表をもとに論文を作成する。口頭発表は一次資料の調査結果をまとめ、検証したものだったので、本研究の視座を再確認するためにも、さらに問題意識を問いただすような視点を加えて論文に仕上げる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に、設備備品費として計上していた「パーソナルコンピューター」と消耗品費として計上していた「パソコンソフト」、「スキャナー」「電子データメモリ」人件費・謝金として計上していた「撮影報酬」「資料整理」を使用しなかった。平成25年度に計画していた地図作成の作業に着手することが出来なかったのがその要因である。地図作成に取りかかる前に、現段階での研究成果をまとめて軌道修正をはかった結果である。また、資料となる明治期の京都市街地図を撮影するのではなく、作業の効率化のために現物を入手する方向で検討することにした。したがって、「撮影報酬」等、撮影に際して必要となる人件費などが不要になり、地図を購入するための設備備品費が必要となる。 平成26年度には、地図作成の作業に着手する。そのために「パーソナルコンピューター」、「パソコンソフト」、「スキャナー」、「電子データメモリ」「文具類」等を購入する予定である。また、資料入手方法を再検討した上で、設備備品費から明治期の地図の現物を購入する可能性がある。設備備品費としては、その他、計画どおり文献や図書などを購入する。旅費として計上していた岡山京都間の交通費は本年度より研究代表者が京都に移ったことによって不要になったが、本年度は資料調査の目的で関東地方への出張を予定している。
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