1867年に設置されたベルリン工芸博物館は、まずカール・グロピウスが造った「グロピウスのジオラマ」を展示施設として開館した。そしてマルティン・グロピウスの設計によって独自の博物館建物が完成した。ジオラマは19世紀にヴァーチャルな視覚体験を可能にした画期的装置であるが、本研究では「グロピウスのジオラマ」には展示機能や教育機能も備わっており、それが未体験の時代や国の応用芸術作品を展示する工芸博物館の展示戦略に受け継がれたこと、そしてその際にグロピウス家が重要な役割を果たしたことを、当時の新聞資料などを用い、具体的に明らかにした。
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