研究課題/領域番号 |
25370204
|
研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
守安 敏久 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (80247866)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 寺山修司 / 萩元晴彦 / TBS / テレビ・ドキュメンタリー / 日の丸 |
研究実績の概要 |
前年度の研究に続き、寺山修司構成、萩元晴彦演出により、1960年代にTBSで制作された一連のテレビ・ドキュメンタリーについて考察した。『現代の主役 日の丸』(1967年2月)、『マスコミQ 私は…』(1967年6月)、『マスコミQ 続・私は…』(1967年6月)、『マスコミQ アメリカ人・あなたは……』(1967年10月)、『現代の主役 私は日本人です』(1967年10月)などの作品群である。 とりわけ、さまざまな人に矢継ぎ早に質問をぶつけ、日本人の日の丸に対する意識、国家観、愛国心などを探った街頭インタビュー番組『現代の主役 日の丸』(寺山修司構成、萩元晴彦演出)について解読した。そこには「あなたは祖国と家庭とどちらを愛していますか」といった質問なども含まれており、日の丸と戦争との距離を探りながら、愛国心の正負両面を意識させる挑発的なドキュメンタリーとなっていた。またこの作品については、放送後、郵政相が「偏向番組」発言をし、政府側の番組干渉が放送局側の自主規制を生むことともなった。 この研究については、国際寺山修司学会第18回春季大会(愛知学院大学・楠元キャンパス、2014年5月24日)にて、「寺山修司のTBSテレビ・ドキュメンタリー」と題して口頭発表した後、学術論文「寺山修司のテレビ・ドキュメンタリー『現代の主役 日の丸』―「あなたは祖国と家庭とどちらを愛していますか」―」(『宇都宮大学教育学部紀要』第65号第1部、2015年3月)として発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
寺山修司がテレビ・ドキュメンタリーにもたらした方法論についての考察は、当初は研究の第3年次に行う予定であったが、1960年代に寺山修司が構成したTBSテレビ・ドキュメンタリーをまとめて見る機会を得たので、この考察を重視し、先行させた。研究順の変更はあったが、研究はきわめて順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
寺山修司は泉鏡花の原作を、自ら脚色して映画『草迷宮』(寺山修司監督、1979年)を撮っているが、同じく泉鏡花原作を脚色したラジオドラマ『瓜の涙』(NHK、1980年11月)を書いている。 またふるさと青森の地を舞台とした寺山修司のラジオドラマ『恐山』(NHK,1962年8月)、ラジオドラマ『狼少年』(青森放送、1968年11月)など、文学と風土との関わりも視野に入れて、寺山の放送作品を研究していきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の物品費と旅費が当初想定より、低く抑えることができた。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究を遂行するための物品購入と旅費に充当し、さらに研究成果を出版するための印刷費用に充当したい。
|