寺山修司構成、萩元晴彦演出により、1960年代にTBSで制作された一連のテレビ・ドキュメンタリーを通して、その放送史上の意義を考察した。とりわけ、さまざまな人に質問をぶつけていく街頭インタビュー番組『あなたは……』(1966年)、『現代の主役 日の丸』(1967年)を対象として、質問することそのものを方法化した寺山修司の「半世界」の思想について解読した。このドキュメンタリーでは、「質問」に揺さぶられ、戸惑いながら回答していく人々の姿を通して、視聴者もまた幸福の在り処と自己の存在証明を自問することになる。成果は単著『寺山修司論―バロックの大世界劇場―』(国書刊行会、2017年2月)として刊行。
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