研究課題/領域番号 |
25370205
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大原 祐治 千葉大学, 文学部, 准教授 (40554184)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 占領期 / 地方雑誌 / 地方文化 / 戦後文学 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、全国各地の特色ある地方雑誌を収集し、敗戦直後における地方雑誌刊行の概況について調査を行った。主な成果としては、まず以下のようなことが挙げられる。
(1)新潟市を拠点とする北日本文化協会が刊行していた雑誌「北日本文学」の蒐集(2)名古屋市を拠点とする名古屋文学グループが刊行していた雑誌「名古屋文学」の蒐集(3)会津若松市を拠点とする会津魁新聞社が刊行していた雑誌「盆地」の調査(会津若松市立会津図書館所蔵)
上記三種類の雑誌について、その概要を通観し、総目次作成等に向けた足がかりを作るとともに、誌面構成や執筆者の顔ぶれの変遷等に関する調査から、敗戦直後の地方における文化状況について、さらに考察を深めるための基礎的な知見が得られた。 その他、名古屋市を拠点に刊行されていた雑誌「ABC文化」(のち「東海春秋」と改題)など、いくつかの雑誌に関する調査も行っている。「ABC文化(東海春秋)」はまとまった形で所蔵する図書館等が存在せず、現在のところ散逸してしまっている状況にあるが、尾崎咢堂や時枝誠記をはじめ、様々な文化人が寄稿していることがうかがえる雑誌であり、敗戦直後における中京圏の文化状況を考える上で見逃せない内容を含むものであると推測される。また、前年度までに総目次および解題をまとめた雑誌「月刊にひがた」(新潟日報社刊)ついても引き続き調査を行った結果、同誌と福岡を拠点に刊行されていた雑誌「九州文学」との交流実態をたどる上での鍵となる、両雑誌に関わりを持っていた人物の存在にが判明し、今後の調査・研究の足がかりを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
敗戦直後に刊行された地方雑誌の種類と規模はきわめて多様であり、占領期GHQの検閲資料であるプランゲ文庫にも収蔵されず散逸してしまったと思われる雑誌が少なくない。こうした資料を調査するには、各地の公立図書館や古書店等へと足を運ぶ必要があると思われるが、そのような機会はこれまでのところ必ずしも十分に確保できているとは言えない状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、地方の図書館等に精力的に足を運び、調査を行う。また、関心を共有する研究者、出版社等と連携しながら、研究情報の蓄積・整備に努める、特に資料的価値の高い雑誌に関しては出版社等と連携し、復刻版の刊行に関する企画について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定していた出張調査が校務の関係で延期となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
延期した出張を次年度の最初に実施する。
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