本研究は、中世日本において行われた仏教儀礼について、〈音曲〉という観点から考究するものである。法会を音曲的観点から眺め、芸態復元に結実させるべく、三つの観点から研究を行った。(1)読経道の文化的位相の解明…読経道について、宗教文化ないし仏教儀礼においていかに位置付けられるのかを究明し,その音曲の特徴を読み解いた。(2)唱導の音曲の位相の解明…読経と深く関わる説経について、音曲的特徴や口伝の生成の過程を究明した。(3)音声による復元…澄憲作『如意輪講式』について、資料読解に基づいて演唱を実現させた。以上、読経・説経を軸に、仏教儀礼の歴史の中に位置付け、それらの音曲体系を考察した。
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