研究課題
全国書房創業者・田中秀吉(故人)の自宅から発見された同社関連資料の調査報告と閲覧・分析、および、全国書房の基幹雑誌『新文学』を精読するための研究会を、5月21日(キャンパスプラザ京都)、12月9日(京都教育大学)、2月23日(京都教育大学)、3月22日(京都教育大学)に開催した。新資料の発見もあって、研究自体が予想以上のボリュームとなったこともあり、成果をまとめきれないまま今年度を以て研究期間を終えることになる。しかし、研究期間を通して、謎の多かった全国書房という出版社について、田中秀吉社長の出自や企業人としての姿勢、全国書房の編集者たちと作家、文壇との関わりなど、多くのことが判明し、今後の研究ための基礎を固めることができたのはたしかである。とくに、全国書房の出版物と基幹雑誌『新文学』をめぐって、その成り立ちや、出版をめぐる人と人のネットワークの一端が明らかになったことは大きな成果である。全国書房は、関西のローカルな出版社から、戦中~戦後占領期に、一躍「全国」展開した出版社であるが、そこには、出版業そのものの社会的な位置の変容と、関西出版界が全国規模の出版を担うまでに成長した過程が反映されていることがわかった。発見された膨大な資料の整理、また、さらなる『新文学』の精読を進めて行くことで、当初予定していた以上の質と量を備えた研究成果の資料論文集の出版を実現すべく、次年度以降も引き続き定期的な研究会を継続することを、研究メンバー一同で確認した。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件) 図書 (3件)
近代文学合同研究会論集
巻: 第13号 ページ: 2-16
りずむ
巻: 第5号 ページ: 52-80
京都教育大学 国文学会誌
巻: 第44号 ページ: 1-16
昭和文学研究
巻: 第73集 ページ: 79-92
関西大学文学論集
巻: 第66巻第3号 ページ: 1-24
関西大学東西学術研究所紀要
巻: 第49輯 ページ: 39-60