本研究は、仏教に関連することがらを表現した和歌についての研究である。日本の中世には、説話集や、古典注釈(古典文学についての注釈をしるした書物)、神道書(神道の思想や教えを記した書物)、直談書(『法華経』を中心とする仏教経典の経義についての談話を記録した形をとる書物)などといった、さまざまな文献が成立した。本研究では、これらの文献に収められている和歌と、歌集に収められている和歌の双方に焦点をあてて考察した。それによって、和歌と仏教が深く結びついている中世の言語のありかたについて、ジャンルを横断した視点から具体的に明らかにした。
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