本研究課題における最大の成果は、学術単著『沖縄の傷という回路』(岩波書店、2014年)である。この本は、すでに「沖縄タイムス」や『月刊みすず』『図書新聞』等のレビューで高い評価を受けている。加えて、この本以外の成果として、論文「「掟の門前」に座り込む人々」(『現代思想』2014年10月号)や『日本占領再編ツールとしての沖縄返還」(同2015年8月号)等の8本の論文そして国際学術シンポジウムを含む6回の口頭発表を行った。これらの研究により、戦後沖縄文学の思想史的可能性を、とくに軍事覇権への抵抗思想による共同性の構築とい点において明らかにし得た点に、本研究の成果の核心が示されている。
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