本研究は、新古今歌人慈円の和歌活動を探求するために、その特徴の一つである法楽歌に焦点を絞り背景を為す彼の思想体系を検証するものである。家集内の百首歌序・跋に展開する宗教観・歴史観などを中心に、彼独自の思想体系解明してゆく。単なる伝本収集に留まるのではなく、周辺領域である仏教・神道の中世的実態というべき「本地垂迹」などに目配りを行う。 特に伊勢に関する調査・分析として、国文学研究資料館所蔵『神宮典略』内の「神宮正権祢宜和歌」及び神宮文庫蔵『二十一代集抜萃』を検証することで、『御裳濯和歌集』の価値について考究を行った。その結果、「二見浦百首」作者の解明に繋がることになった。
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