研究課題/領域番号 |
25370224
|
研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
白井 伊津子 淑徳大学, 社会福祉学部, 教授 (40323224)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 修辞表現 / 対句 / 中国文学 / 古代和歌 / 対偶語 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度の研究において、ひとつの重要な部門として着手した(1)「中国における対句論の分析と整理」および(2)「わが国における対句論の分析と整理」を受けて、中国の古典文学作品の実作に即して対偶語を選び出す作業を中心に鋭意進めていった。 具体的には、『毛詩』『文選』の詩作品、『玉台新詠』、および北周のユ信、初唐の王勃や駱賓王らの詩作品のいくつかである。対偶の表現においては、詩と文とではその使用の目的が異なるという指摘(福井佳夫『六朝文体論』Ⅱ修辞論 第五章対偶論)を重視し、詩作品を中心に据えて、これらから、対偶語に関して、ひとまずデータを抜き出し、手書きカードとして蓄積することに重点をおいて進めたという段階である。 対偶語に関しては、注釈書類に扱われているものはもちろんだが、基本的には、二字以上の複合語と複合語において、句を分かち、対比関係、並列関係などが見いだせるもの、さらに複合語そのものの構成において、対比関係、並列関係が見いだせるものとした。また、それらの例の分類が問題となるが、語(「物」)の音・訓などの読みと、「物」を分類する、簡便な類書である『初学記』の分類項目においても分別が可能となるように、注記を施していった。 なお、対句論で扱われている、対句の分類例である「言対」「事対」「反対」「正対」などと、これらの実作例との関係については、そもそも分類例が並列可能かどうかの問題を孕んでおり、今年度のわが国の文学作品における実作例ともあわせて、平成28年度に分析の予定としている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国古典文学の主要な詩作品を中心にデータを収集している。可能な限り、注釈書に目配りし、丁寧に読解することに心掛けている。なお、手書きカードからデータに移行する作業に手間取る面があったが、この点を迅速にすすめられるようにしていきたい。
|
今後の研究の推進方策 |
3年目の計画としては、4つめの課題である「わが国の漢詩文および歌における対偶語の基礎資料作成」を行う。対象とするのは、わが国最古の漢詩集『懐風藻』、勅撰三集。さらに、歌については『万葉集』『古今和歌集』である。注釈などの記載の有無に拘わらず、まずは幅広く例を収集することに努めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究書を購入予定であったが、年度内の入荷が困難となったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度早々に入荷の予定。
|