研究課題/領域番号 |
25370226
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研究機関 | 和洋女子大学 |
研究代表者 |
佐藤 勝明 和洋女子大学, 人文社会科学系, 教授 (60255172)
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研究分担者 |
玉城 司 清泉女学院大学, 人間学部, 客員教授 (20410441)
伊藤 善隆 湘北短期大学, ビジネス総合学科, 准教授 (30287940)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 近世俳諧 / かるみ / 蕉風 / 地方俳書 / 俳人大観 / 白陀羅尼 / 続猿蓑 / 伊勢新百韵 |
研究実績の概要 |
本研究に関しては、主として次の4点にわたって作業することを、研究計画書等で明らかにしている。すなわち、1.宝永期以後の「俳人大観」の作成、2.地方俳諧に関わる調査と分析、3.主要な連句作品の注釈、4.「かるみ」の継承・伝播に関する検討である。これらについて、平成26年度の進捗状況を、以下に記していく。 1は、雲英末雄監修、佐藤勝明・伊藤善隆・金子俊之編『元禄時代俳人大観』全3巻(八木書店。2011~2012)を受け継ぐ形で、俳書を悉皆的に調査し、入集者と入集状況を一覧化したものとして、佐藤・伊藤・金子「宝永正徳俳人大観(二)」「同(三」)(『近世文芸評論と研究』86・87、2014)を発表した。 2は、地方の図書館・文庫等を訪問し、俳諧資料の所在を探ると同時に、その分析を進めることが、具体的な内容である。本年度は、名古屋市立博物館・佐賀大学図書館・大阪府立大学図書館を訪問し、多くの資料に接した。その分析の一部は1・3・4の作業に反映している。 3は、未注釈である『白陀羅尼』の分析を進め、佐藤勝明・玉城司・伊藤善隆・服部直子・越後敬子・稲葉有祐による「『白陀羅尼』「枯たはと」歌仙分析」」(『近世文芸評論と研究』87、2014)を発表。佐藤と小林孔による「『続猿蓑』「猿蓑に」歌仙分析」(『近世文芸評論と研究』86、2014)、佐藤の「『伊勢新百韵』分析(上)」(『和洋女子大学紀要』55、2015)も発表した。 4については、主として研究代表者の佐藤勝明が、他の参加者から助言をもらいながら、検討を進めている。その成果の一部は、佐藤『俳諧の歴史と芭蕉』(芭蕉翁顕彰会、2015)にも反映している。また、前年度に発表した「「かるみ継承の一態―『別座鋪』『続別座敷』の分析から―」」(『和洋女子大学紀要』54、2014)を一つの指標に、今後さらなる検討を続けていくことになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前記の1~4の各点とも、「研究実績の概要」に記した通り、順調に作業が行われている。1の中でも「宝永正徳俳人大観」は、研究者の間からも切望されていたもので、その連載が進んでいる意義は大きいといえる。3に関しては、前年度の準備期間を経て、今年度、3本の分析稿を発表することができ、予想以上の進度であると考えている。4についても、初年度に指針となる論考を発表しており、3の各稿とも、これと密接に関わる形で成立したといってよい。これらの基盤になるのが、3であり、ここで得られた新情報をどういかすかが、今後の課題の一つとなる。
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今後の研究の推進方策 |
前記1~4の各点とも、「現在までの達成度」に記したことを踏まえて、今後の研究を推進することになる。1は、すでに確立された方法を使い、これまで同様の進度(年刊二回の連載)で「宝永正徳俳人大観」を進めていくことになる。2に関しては、新たな知見を得るためにも、これまでと同様、積極的に調査を進めていきたい。基礎データの蓄積は、すべての研究のベースにほかならないからである。3に関しては、新たに『節文集』の分析に取り組みつつあり、年度内にまとめる予定であり、『続猿蓑』の分析も残るところ一巻となり、これも年度内の発表を予定している。『伊勢新百韵』の分析も、今年度で完成する予定である。4に関しては、1~3の作業に基づきながら、総合的な検討をする必要があり、これまでの成果を視野に入れつつ、「かるみ」の実態に迫っていくことにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
佐賀大学図書館への調査旅行に同行が予定されていた玉城司の都合が悪く、同道が叶わなかったため、主としてその費用が残ることになった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の調査旅行等の費用に加えることとしたい。
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