本課題研究は、森家の所蔵する森敦自筆資料について全体像を示すことを目的としている。これまで未公開であった膨大な森敦自筆資料について、小説、評論、エッセイ等に分類し、それらを発表誌等の書誌的な事項に基づいて一覧化した。その成果は『森敦資料目録』として公開した。 森敦文学の草稿や紙片等の調査を行い、生成過程を跡づけた本課題研究は、森敦文学の基礎的研究としての成果をあげている。とくに代表作「月山」については、すべての草稿類を翻刻し、それぞれの草稿の内容的、表現的な関連についても明らかにした。 同時に「月山」の舞台である山形県鶴岡市七五三掛地区の現地調査も行い、作品の虚構性を明らかにした。
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