研究課題/領域番号 |
25370230
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研究機関 | 清泉女子大学 |
研究代表者 |
佐伯 孝弘 清泉女子大学, 文学部, 教授 (40255956)
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研究分担者 |
井上 和人 関東学院大学, 文学部, 准教授 (30613971)
杉本 和寛 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (40282545)
水谷 隆之 立教大学, 文学部, 准教授 (60454500)
倉員 正江(長谷川正江) 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (70307817)
篠原 進 青山学院大学, 文学部, 教授 (80133271)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 浮世草子 / 井原西鶴 / 近世怪異小説 / 『武道伝来記』 / 『儻偶用心記』 / 『風流今平家』 / 西沢一風 / 月尋堂 |
研究実績の概要 |
以下の作業を行った。 1、【西鶴・浮世草子研究文献目録作成】 前に受けた科学研究費で行っていた作業を継続し、作業グループを4つに分け、文献の現物調査、及び作成リストの増補作業、索引作成のため文献毎のキーワード抽出作業を行った。但し、予定よりかなり作業のペースが押したり、グループによっては中断したりしてしまっている。 2、【作品の注釈】 浮世草子研究会の例会を8回行い、昨年度に続けて上田秋成の浮世草子『諸道聴耳世間猿』の注釈作業を終了し、次に会で注釈作業を行う作品を選定した(都の錦作『御前於伽』)。また、公刊に向け、以前注釈作業を行った月尋堂作『戃偶用心記』の語注の再調査と整備を進めた。 3、【浮世草子の作品論・作家論や、他ジャンルとの関連の考察】 佐伯は浮世草子と近世怪異文学との関係、篠原は西鶴の浮世草子の創作手法、長谷川は西鶴と近松門左衛門を中心とする近世前期の文学の概況、井上は西沢一風の浮世草子の書誌と内容について、水谷は近世前期小説における商人像について、後掲の如く発表した。 4,【『浮世草子事典』の編集作業】 全浮世草子500作余りを網羅する『浮世草子事典』刊行へ向け、編集作業を進めた。具体的には、各執筆者より続々と集まる原稿の内容チェック、抜けていた作品の項目の追加、共同研究者自身が担当する項目の執筆、執筆を辞退なさった方の担当項目の代理執筆、編集作業の進行具合や今後のスケジュールの手直しについての出版社との相談等を行った。。 5、【浮世草子作品の翻刻】 翻刻を行う『儻偶用心記』(天理図書館蔵)の本文につき、改題本『世間用心記』(国会図書館蔵)の本文と比較しつつ、翻刻する本文を整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
『西鶴・浮世草子研究文献目録』の作成と『儻偶用心記』の翻刻・注釈作業は共に仕上げに段階に入っているものの、『浮世草子事典』編集作業に大きく時間と労力を取られ、未だ完成に至っていない。作業を協力してもらっている浮世草子研究会の若手会員の人数が減って、十分な要員が確保できなかったことも作業遅れの一因である。 『浮世草子事典』編集作業については、項目執筆を依頼した執筆担当者の中に、執筆を辞退したり締切を過ぎても入稿しなかったりする人が続出し、その対応にも追われた。 研究代表者の佐伯が勤務校で平成26年度より副学長に就き、研究分担者の長谷川が日本近世文学会の事務局長、杉本が日本近世文学会平成27年度春季大会会場担当者となり、校務や学会実務に大きく時間を割かれてしまい、当初予定したようには本研究のための時間と労力を充てることが叶わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
全部の作業項目において、進行が遅れて閉まっているので、一つずつ片付けて行きたい。 『儻偶用心記』の注釈再整備は、取り纏め訳の杉本が十分な作業時間の取れない状況にあるため、担当を井上に変更する。 『西鶴・浮世草子研究文献目録』の仕上げ(特に、索引作成のため各文献からキーワードを抽出する作業)については、研究作業補助者を増やして長期休暇に集中的に作業を進めたい。 『浮世草子事典』については、依頼した項目執筆担当者の入稿が叶わない場合は、編集取り纏めを担当する長谷川が中心になり、執筆を肩代わりする。 また 刊行の大きく遅れている、雑誌『浮世草子研究』1号(浮世草子研究会の機関誌。科研費を利用して行ってた『儻偶用心記』後刻・注釈に、メンバー各人の論文等を加えて編集)は、遅れている部分の原稿を整え、、平成27年度の前期末までに何とか公刊し、関係の研究者や主要図書館へ献本する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
『浮世草子事典』(笠間書院より刊行予定)の項目執筆と編集作業を優先させたために、継続中の『西鶴・浮世草子研究文献目録』の作業(文献の補足・収拾作業、及び文献よりのキーワード抽出作業)が一次中断し進行が遅れてしまっている。 そのため、目録作りに充てる費用(研究作業補助費・書籍費・複写費等)を今年度使用できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
『西鶴・浮世草子研究文献目録』の作業を取り急ぎ再開し、そのための上記必要経費に充てる予定である。 また、できれば、平成27年度中に刊行予定の浮世草子研究会機関誌『浮世草子研究』1号の製本・印刷費や発送費にも充当したいと考えている。
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