研究課題/領域番号 |
25370231
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
鈴木 俊幸 中央大学, 文学部, 教授 (00216417)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 彫工 / 摺師 / 製本師 / 仕入印 / 書籍文化史 / 書籍流通 / 弘暦 / 貸本印 |
研究実績の概要 |
書籍の制作に関わる下職、彫工・摺工・本仕立職に関わる資料の収集と整理を継続し、地域単位の名寄せ形式のデータベース作成を行った。なお、本年度は、明治20年代以後の本仕立職のデータの収集に力を入れ、明治中期の教科書類の収集を行った。ここに押捺されている製本印からデータを拾い出していく作業を行ったが、これにより製本師と特定の版元との強い関係性を浮かび上がらせることができた。また、明治期の諸新聞の記事から、下職に関わる記事を収集する作業も継続し、今年度は「大坂朝日新聞」「伊勢新聞」からデータを収集し、データベースに付加した。一枚摺の名所絵図の調査による彫師データの収集にも着手したが、これについては、まだ中途段階である。浮世絵から彫工のデータを収集する作業も継続し、長年継続的に調査を行ってきた小千谷の「絵紙」からのデータ収集を行った。これについては、2019年度にデータベースに付加する予定である。 書籍の流通に関わる研究として、継続的に行っている仕入印・貸本印の収集を進めた。弘暦印の備わる暦の収集も継続し、弘暦の実態把握に努めた。書籍商の葉書の収集も継続し、翻字とデータ整理を行った。 『書籍文化史』第18集を発行し、研究者間の情報共有を図った。これに、新著・雑誌類から書籍文化史にかかわる文献・資料を渉猟し、2016年10月までに収集したデータをまとめ、「『近世・近代初期 書籍研究文献目録』補遺・3」として掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
書籍制作下職についての研究については、大幅なデータ増補を図る段階を過ぎ、これまでの資料収集・調査に漏れたものを拾い出していく段階となった。 書籍流通に関わる仕入印・貸本印のデータについては、データ収集は安定的に継続できているが、蓄積されたデータの整理が若干遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
書籍制作下職の研究については、「岩手新聞」「下野新聞」等未調査の地方新聞の広告記事の調査を行い、データの増補を図る予定である。2017年末を目途にデータの増補に努め、2018年から、これらを公開できる形にまとめる作業に取り掛かる。 書籍流通の研究については、これまでどおり、仕入印・貸本印の収集と整理に努め、これも公開を図るために整理していく。 『書籍文化史』第19号を発行し、これに増補すべき研究文献目録を掲載する。
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