書籍の制作に関わる下職、彫工・摺工・本仕立職、また摺物所と経師等関連業者に関わる資料の収集と整理を継続し、地域単位の名寄せ形式のデータベース作成を行った。なお、本年度も、明治20年代以後の本仕立職のデータの収集に力を入れるため、明治中期の教科書類の収集を行った。また、明治期の諸新聞の記事から、下職に関わる記事を収集する作業も継続した。今年度は「信濃毎日新聞」「甲陽日報」「福岡日日新聞」「此花新聞」「神戸又新日報」等を調査対象とし、データの充実に努めた。これらデータを整備し、「諸職名寄」と題する索引付の工具書を編纂した。A4版で661ページのものとなった。これをPDFのファイルに作るとともに、架蔵資料の撮影を行い画像データとし、それらを複写したCDを制作、広く研究者に配布した。 書籍流通研究に関わるツールを制作すべく、仕入印・貸本印・弘暦印のデータ収集も継続し、それらの画像とともにデータの整理も行ったが、これについては、網羅性がまだ低く、今後も継続すべき課題とした。 書籍文化史に関わる研究情報を研究者に共有してもらうべく発行を続けてきた雑誌『書籍文化史』については、第19集の発行を行った。研究者からの寄稿原稿5本のほか、新著・雑誌類から書籍文化史にかかわる文献・資料を渉猟し、2017年10月までに収集したデータをまとめ、「『近世・近代初期 書籍研究文献目録』補遺・4」としてこれに掲載した。
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