未来の子供に安心して与えられる『風の又三郎』の新字新仮名の流布本文が必要であるという共通理解のもとに本研究を試みた。同作は、作者・宮沢賢治が完成することができずに、亡くなってしまったものであり、未解決の問題が数多くあるからだ。 例えば「三年生」の問題----草稿一枚目には「三年生がないだけであとは」と記されていながら、あとから「三年生」は何人も登場してくるのだ。筆者は、そうした問題も踏まえて現代詩人との研究報告書も作成した。研究分担者の栗原敦、杉浦静は、筑摩書房から新たに刊行中の『宮沢賢治コレクション』の編纂委員として、いままた現場で活躍している。
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