平安時代の仮名文学作品は、今日様々に活字化され、読まれてきている。しかし活字化に際しての、底本選定に関する従来説には、不適切なものが多かった。結果、善本ではない古典籍が底本に採用されたり、同じ古典籍が何回も底本とされ続けたり、重要他伝本が忘れ去られてしまったり、という弊害が生じていた。 本研究は、それら従来説を批判し、調査研究し直して、平安時代仮名文学の伝本や本文に関する新たな知見の提示を試みたものである。結果、古今集・発心和歌集・二十巻本類聚歌合・伊勢物語・源氏物語・栄花物語・枕草子ほかの伝本や本文に関し、重要資料を発掘・再発掘し、評価・再評価して、学術論文等に結実させていくことができた。
|