研究実績の概要 |
一昨年度の原本調査から昨年度の新出本の判明などによって、本研究の予定を変更・延長したため、今年度は最終年度のかたちで、成果発表のまとめに努めた。 まずは、すでに昨年度の実績報告書に挙げた本研究課題の主要成果である「骸骨の物語草子―『幻中草打画』再考」(天野文雄監修『禅からみた日本中世の文化と社会』ぺりかん社、2016年6月)が刊行され、論文の公開によってさらにまた新たな知見や教示を得ることができ、新たに関連文献の調査に着手した。 また、2017年3月にハイデルベルク大学で開催された国際ワークショップ「写本と版本」(慶應義塾大学・ハイデルベルク大学共催)において、本研究の成果の一部について口頭発表をおこなった。こちらについては、本研究の延長上にある研究で、28年度新たに採択された研究課題「16・17世紀における物語草子制作と仮名法語の開版の相関性についての研究」における研究成果として提示した。 さらに、本研究の成果、および国文学研究資料館の国際共同研究の成果として、物語草子の尼僧を中心に英語でまとめた“The Current State of Research on Monogatari-soshi: Women, Changelings, and Other Worlds in Otogi-zoshi”を『国文学研究資料館紀要・文学研究篇』43号に掲載した。当該研究の成果を踏まえ、これまでの自身の研究概要を英語でまとめ、公開したことにより、とくに海外の文学・歴史・宗教・美術の各分野の研究者から貴重な教示が寄せられ、今後の研究につなげるものとなった。
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