研究概要 |
本研究は、デジタル・データベースの検索機能を最大限に活用し、西欧占星術に起源をもつ概念の意味と使用コンテクストの歴史的変遷を、文学研究の手法も絡めながら概念史的な観点から網羅的に研究しようとするものである。そのためには、①OED等のOnline辞典の検索機能を利用して、西欧占星術に起源を持つ概念がどの程度あるのか網羅的に特定し、②その概念のそれぞれについて、Literature Online, Early English Books Online, British History Online, Oxford Scholarly Editions Online等のデジタル・データベースを活用して、その意味と使用コンテクストの変遷等について、文学研究的な観点も含めて解釈を施し、③それぞれの概念の歴史的な変遷にいて概念史的な観点から検討を施し、④最終的には占星術概念の歴史的な変遷について西欧世界観の変遷も視野に入れながら結論づける。 平成25年度は、Liteature Onlineを購入し、時間の許す限りこのデータ・ベースからダウンロードを行い、テキストファイルとして保存し、このデータベース及び無料のデータベースを複数活用し、シェイクスピアの占星術概念の意義について、それをフランシス・ベイコン、サー・トーマス・ブラウン等、英国初期近代の代表的な知識人の占星術概念と比較し、以下の2点の新しい知見を得た。①シェイクスピアの占星術概念は、ベイコンやブラウンのそれとは対照的に古い宇宙観に基づいていること、②英国初期近代においては占星術概念の内容と使用法が新しい宇宙観と古い宇宙観の対立によって流動的な状態にあること、以上の2点である。
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