平成20~24年度の科研費研究課題「モダニスト四重奏文学の共時的分析」をさらに発展させ、特に1940年代から1960年代の約20年間に的を絞った「20世紀半ばのカルテット的世界観の分析」を行った。
具体的には、①1940年代についてはCarson McCullersの初期作品群に注目し、②1950年代から1960年代についてはLawrence DurrellとDoris Lessingの代表作に焦点を絞った。実際の研究成果としては、①は海外の査読付き研究書Carson McCullers in the Twenty-First Centuryに収録された章“The Image of the String Quartet Lurking in The Heart Is a Lonely Hunter”の他、ローマで開催された国際学会Carson McCullers in the Worldでの発表“Carson McCullers’s Musico-Literary Democracy”がある。この学会発表の内容は、査読付きの研究書で章として新たに出版する話が進んでいる。一方、②については、海外の査読つき学術誌Notes on Contemporary Literatureから出版された“Secret Function of a String Quartet in Doris Lessing’s The Golden Notebook”の他、バンクーバーで開催された国際学会 International Lawrence Durrell Society Conferenceでの発表“Place in Durrell’s The Alexandria Quartet”がある。
また、この研究を新たな科研費研究課題(「古代・ルネサンス期の宇宙観とモダニズム期四重奏文学開花との関係性の分析」、平成30~34年度)として発展させていくことを考えていたため、毎年、国内外での資料収集や読み込みを精力的に進めてきた。
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