ヘンデルのオラトリオ作品は、かつて彼のイタリア歌劇が非合理な作品と考えられていたように、単調な中産階級的作品だと考えられることが一般的だが、個々の作品を分析すれば判明するように、豊かで多様性に富んでいる。これはオラトリオ成立がフィールディングの笑劇とバーレスクに関連していたことから明らかである。 ヘンデルのオラトリオ期は『メサイア』の成功から始まるが、その後の展開は容易ではなかった。その一例が『セメレー』と『ヨセフとその兄弟たち』である。これらの作品は小説興隆期のパメラ論争に結びつけると、その価値が明らかとなる。ヘンデルは最後まで個性溢れる傑作オラトリオ作品を書き続けたのであった。
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